桜プリント社

人物トライアングル

まろびね工房 主宰 中野寿子氏
第12回 2012.12.12
30年目にであった表現手段
まろびね工房
主宰 中野寿子氏
今回は、イラストレーターの中野寿子さんに現在の作風にたどり着いた道のりをお聞きしました。
いつ頃からイラストを描かれていましたか?
障害を持って生まれた私は家の中で本を読んだり絵を描いたりするのが楽しみでした。
特に少女漫画の登場人物をまねて描きました。
いつの間にか趣味の延長上で仕事になっていましたが、当時を振り返ってみると仕事への甘さに恥ずかしい限りです。
正直言って自信を持てたのが30年近く続けて最近のことです。
作風はメルヘンチックなものが主体でしたが、野菜や魚などを写実的に描き始めてから多くの方と触れ合う機会が増えました。誰にでもわかるイラストを通してコミュニケーションがとれます。やっと私の表現手段にであいました。
人生の転機を教えてください。
子ども頃の社会は障害者には閉鎖的でした。通学することさえ難しく初めて学校に行ったのは18歳の時に通信教育で通ったスクーリングでした。この瞬間から私の世界が外に向かって広がり始めました。初めての車いす、初めての同級生、親から離れての初めての生活・・・少しずつですが着実に変わって行きました。
25歳の時にミスタードーナツ障害者リーダー米国留学基金のおかげでカリフォルニア州バークレーに単身で渡り半年間生活をしました。貴重な体験をさせていただきました。そして帰国後にまずとりかかったのがフリーマーケットの開催です。アメリカでの経験が何か自分を変えてくれました。

今は、親の介護で仕事に割ける時間は減っていますが夢と目標は膨らんでいます。
まろびね工房
URL http://marobine.holy.jp
・・・・・インタビューを終えて
サリドマイド障害を持ち車いす生活の中野さんが山口市パークロードのフリーマーケットの発起人とは驚かされました。イラスト以外でも多くの夢を聞かせていただきました。今後のご活躍を大いに期待します。